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2015-01-06

新しい出生前診断について

カテゴリー > cat2 友美の議会質問集

新しい出生前診断についてお伺いをいたします。

出生前診断とは、胎児の異常の有無の判定を目的として、妊娠中に実施する一連の検査のことで、広い意味で胎児が生存をしているか、位置や向きはどうか、胎児環境が危険なものではないかなど、出産までに行う検査及び診断であります。
しかし、見方を変えれば、出生前診断が胎児の異常のあるなしを発見する診断でもあります。
これまで、胎児の染色体異常の検査は、妊婦のおなかに針を刺して羊水をとり、胎児の細胞を調べる羊水検査と、妊婦の血液を採取し、タンパク質などの成分を調べる母体血清マーカー検査などがありましたが、近年、母体血──母体の血液ですけれども、母体血を用いた新しい出生前遺伝学的検査が開発され、海外で普及し始め、アメリカにおいては対象を限定した臨床実験が始まっています。
母体血を採取するのみで、母体に身体的にリスクなく行われるこの検査は、その簡便さから日本においてもその利用が広がることが予想されています。
母体血を用いた新しい出生前診断の対象となるのは、染色体13番、18番、21番であり、21番に異常が見つかればダウン症、心臓病などの可能性のある13番、18番の染色体異常についても高い精度でわかると言われています。
日本産科婦人科学会の母体血を用いた出生前遺伝学的検査に関する検討委員会も、その簡便さだけを理由に母体血を用いたこの検査が広く普及すると、染色体数的異常胎児の出産の排除、さらには、染色体数的異常を有する者の生命の否定へとつながりかねない危うさを秘めていると見解を示しています。
私も、過去の自分の体験から、この新しい出生前診断の実施について慎重であるべきと考えています。
恐縮ではありますが、まず、私の体験を聞いてください。
私は、37歳のときに2人目の子供を懐妊しました。
1人目の長男と同じ病院で、医師も親しく、好感の持てる先生でした。
5カ月もたったそろそろ胎動を感じるころでした。
ある日のこと、医師から、中村さんは35歳を過ぎての出産ですから羊水検査をしてください。
35歳以上の出産される方で300人から350人に1人の割合で染色体異常ダウン症の子が生まれる可能性があります。
検査は自由ですが、検査を受けて異常が見つかったら中絶をしてくださいと突然言われました。
医師は、これは産婦人科学会の方針で、35歳以上の方にはお話しするようにと言われていますと申しわけなさそうにつけ加えられました。
しかし、私にとってこの突然の告知は衝撃的でした。
家族で数日悩み、そして、数日後、羊水検査をすれば、感染症、あるいは流産への不安もありましたが、その安全性を信じてその検査を受けることに同意しました。
医師には、たとえ異常が見つかっても中絶はしないことも伝えました。
ちなみに、この費用は5万円だったと思います。
今でもおなかに刺さる針の冷たさや、針が胎児に刺さらないか、モニターを見ていた不安感は忘れることができません。
さて、この体験を通して、私は、次のような問題点を感じました。
当時の率直な感想です。
妊婦への精神的な衝撃は普通ではありません。
ただでさえ高齢出産への不安がある中で、まさかの、かつてのがん宣告のような重い衝撃であります。
検査は強制ではないと言われれば言われるほど、心の動揺は倍加し、悩みは深くなります。
そこへ学会の方針と言われれば、ただでさえ医師、病院頼みの風潮の中、素人である妊婦さんの大半の人は誰でも検査を受け入れざるを得ないのではないでしょうか。
さらに落ち込んだことは、ダウン症ならおろしてくださいということです。
これではまるでダウン症への差別を病院が生み出し、助長しているのではないかと思いました。
中村さん、男の子なのか、女の子なのかはどうですか、知りたいですか。
それは知らなくてもいいのです。
生まれてくるまで楽しみにわくわくどきどきしておなかの子を育てていたいのです。
ざっと私の体験に基づく感想は以上のとおりです。

さて、35歳以上の出産は増加し続けています。
厚生労働省の人口動態統計月報年計からは、1985年当時、35歳以上の出産人数101,970人でありましたが、2011年では259,552人と15万人ふえ、高齢出産率は1985年の7.1%から24.7%と、妊婦の約4人に1人が35歳以上の高齢出産となっている現状があり、この数字はさらに増加し、高くなっていくことは確実です。
このように、高齢出産の増加に伴い関心が高まってきているのが、妊婦の血液だけでダウン症かどうかほぼ確実にわかる新しい出生前診断です。
日本産婦人科医会の調査によれば、平成21年までの十年間で、出生前診断で胎児の異常などを診断された後、人工中絶されたと推定される数は11,706件で増加傾向にあると言われています。
命の選別につながりかねない出生前診断については、障害者への差別にもつながるという懸念や生命倫理の問題など複雑に絡み合っています。
この診断は、基本的な観点がしっかりしなかったならば、今後の運用次第ではとんでもない社会的局面をつくってしまう予感がします。
以上、私の基本的な立場をまず明確にし、以下、数点にわたって質問をしてまいります。

まず、第1点目に、県内の妊婦の置かれている現状についてお伺いいたします。
愛知県の35歳以上の出産数は、10年前の平成13年が人数で7199人、全体の9.9%、平成17年が10,924人で全体の15.6%、平成23年は15,843人で全体の19.9%と、35歳以上のいわゆる高齢出産は増加しています。
そして、少子化が進む中、より健康な子供を求めるパーフェクトベビー願望が強まっている傾向もあると聞いています。
そこでお伺いいたします。
県内の出生前診断の状況はどのようになっているのでしょうか。
また、私の場合、出生前診断は突然のものであり、診断について何の知識もなく、ダウン症への理解も乏しいものでした。
悪いものへの検査の感覚を覚え、結局は検査の判断も個人で考えるしかありませんでした。
私のような体験、経験を皆しているのでしょうか。
出生前診断についてのカウンセリング体制の状況はどのようになっているのでしょうか、あわせてお伺いをいたします。

第2点目に、新しい出生前診断の導入について、県の対応をお伺いいたします。
冒頭でも触れさせていただきましたが、新しい出生前診断は、妊婦の採血だけで頻度が高い染色体異常について判別できるものです。
この動きを受けて、日本においても、昨年の夏、出生前診断に関心の高い大学病院らの医師は共同で臨床研究の枠組みをつくりました。
その施設には、国立成育医療研究センターや宮城県立こども病院、この地方では名古屋市立大学病院など、15施設が共同研究に参加しています。
いろいろな意見がある中、日本産科婦人科学会は、母体血を用いた新しい出生前遺伝学的検査に関する指針案を昨年12月に公表しました。
安易な普及には懸念を表明し、検査の対象を出産時に三十五歳以上の高齢妊婦などに限定をし、いよいよ新しい出生前診断が始まろうとしています。
私は、高齢出産に伴うリスクへの不安を背景に、生命倫理などの問題を問われることなく普及してしまうのではないかと危惧しています。
結果を受けて中絶するか出産するかを選ぶわけです。
命をめぐる重い決断です。
要らない命などありません。
県としては、この動きに対し、どのような認識をお持ちでしょうか。
妊婦の知る権利とともにお答えください。
また、確実に35歳以上の高齢出産が増加する中で、出生前診断について適切な情報を提供する意義からも、広く議論の場を、専門医師だけでなく、一般の出産経験者、障害者団体、宗教家などを含め、県民に開かれたシンポジウム、講演会、広報活動などの展開が必要と考えますが、御所見をお伺いいたします。

第3点目、あいち小児保健医療総合センターでの対応についてお伺いをいたします。
あいち小児保健医療総合センターは、県内唯一の小児専門病院として、一昨年策定された地域医療再生計画において、全県レベルで小児全般の重篤な患者に高度な救急医療を提供する拠点として位置づけられ、平成24年度に基本設計、平成25年度に実施設計を行い、小児3次救急は平成27年から、周産期救急は平成28年ごろの開始と聞いております。
ハイリスクの新生児、妊産婦を受け入れる体制整備は大変ありがたいことです。
中には、出生前診断を受けられた妊婦の方が出産されるケースも大いに考えられます。
県が平成23年3月にまとめられた愛知県周産期医療体制整備計画には、確保すべき医療従事者として、麻酔医、NICU入院時支援コーディネーターの配置が望ましいと記載されています。
ハイリスクを負って子供を産む覚悟をしている妊産婦へのケアはどうなっているか、心配をしています。
石川県の周産期医療体制整備計画には、MFICU(母体・胎児集中治療管理室)の妊産婦や、NICUに入院中の母親に対して、臨床心理士によるカウンセリングを行うこととしています。
医療技術は大変な進歩を遂げています。
技術の進歩で胎内の異常がわかることは事前の対応ができることから悪いことではありません。
将来、がんやアルツハイマー病になりやすいかどうかまでわかる時代が近いうちにやってきます。
その技術の進歩に意識や知識がついていけていないのではないかとも心配をしています。
あいち小児保健医療総合センターでは、新しく周産期の救急医療が県民に提供されるわけですが、ぜひハイリスクの出産の母親には安心できるカウンセリングなどを行い、温かな気持ちの中で過ごしていただきたいと思いますが、御所見を最後にお伺いし、私の質問を終わらせていただきます。

◯健康福祉部健康担当局長

新しい出生前診断に関するお尋ねのうち、出生前診断及びカウンセリング体制の現状についてお答えを申し上げます。
現在実施されております出生前診断は、胎児の異常の確率を示す母体血清マーカー検査などと、胎児の異常についての確定的な診断を目的とする羊水検査などの二種類に大別されております。
これらの検査の実施状況についてでありますが、医療機関の出生前診断に対する考え方に違いがあり、それぞれの治療方針に基づき、原則として実施していないところ、また、御本人から希望の申し出があった場合に実施しているところ、あるいは35歳以上など検査の適用となる方には、全員に検査のリスクなどを説明した上で希望があった場合に実施しているところなど、さまざまであると認識をしております。
次に、カウンセリングの現状についてであります。
基本的に、医療機関におきましては、検査の有効性や結果について、当事者が十分理解できるよう、医師が詳細なパンフレットなどを用いて説明し、同意を得た上で実施されており、その際、必要があればカウンセリングへのつなぎをするなど、関係学会や厚生労働省が示す指針やガイドラインに沿った慎重な対応がなされているものと承知をしております。
次に、新しい出生前診断の導入に係る県の認識と今後の対応についてお答えを申し上げます。
新しい出生前診断の導入をめぐっては、この検査で陰性の場合は、羊水検査などの痛みや危険を伴う検査を回避できるといった利点や、自分自身の体の状況を知る権利は全ての個人にあるという考え方から、その導入を推進する主張がある一方で、採血だけでできる手軽さから、予期せぬ結果に悩む妊婦がふえること、また、命の選別につながりかねない危険性があることなどから慎重な意見があることも承知をしております。
県といたしましては、国民の倫理的な意識に大きくかかわることでもあり、また、現在、日本産科婦人科学会により、厚生労働省の参画を得て、この検査の指針の作成が行われ、その後、国内の医療機関での臨床検査を経て、今後の運用が検討されるものと聞いておりますことから、まずは、学会や国において方針を固めていただくべきものと考えており、県としては引き続き情報収集に取り組んでまいりたいと考えております。
以上であります。

◯病院事業庁長私からは、あいち小児保健医療総合センターでのハイリスク出産に対するカウンセリングなどの実施についての御質問にお答えいたします。

我が国の小児医療を取り巻く環境は、少子・高齢化が進む中、双子や三つ子などの多胎児や未熟児などの出生率が増加していることなどから、ハイリスク分娩から小児救急医療まで、幅広く安心して高度な医療が受けられる体制の整備が求められているところでございます。
あいち小児保健医療総合センターでは、妊産婦に限ったものではございませんが、開設以来、遺伝相談に応じておりまして、平成23年度には、医師による相談を34件、保健師による相談も59件行ってまいりました。
平成24年度においては、1月までに医師による相談を17件、保健師による相談を36件行っております。
これまでは、出生前診断により母体内の胎児に異常がある場合は、診断をした病院で胎児の十分な評価と管理を行っていただきまして、適切な分娩時期に分娩直後の新生児をあいち小児保健医療総合センターへ搬送していただき、新生児に対する緊急手術、あるいは集中治療を行ってまいりました。
今後は、より安全で高度な医療を実施するため、産科医師を初め、医療スタッフを確保するとともに、出生前の母体の受け入れが可能となる専用の産科病床や新生児のための集中治療室などを新たに設けることとしております。
あわせて、従来の保健活動との役割分担や連携にも配慮したハイリスクの妊産婦に対する相談業務の充実を図りまして、あいち小児保健医療総合センターにおいて安心して出産することができる体制となるように努めてまいりたいと思っております。
以上でございます。

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